人の口に戸は立てられない

外面だけはいい生き方をしてきた。
その外面は弾かれて弾かれて弾かれて覚えた。
その代わり常にそこに壁が一枚ある。
笑っているけれど、笑っていない。
好きはある。それなりにある。人に対してもそれはまだちゃんとある。一応。
これだけ弾かれて弾かれて弾かれてボロクソになっても、まだ好きは残っている。
それはとても小さなサークルでしかないかもしれないけれど。
サークルでもない最早ポツポツとした局地的なものかもしれない。
しかし、その好きが何を意味しているかあまりわかっていない。何が好きなんだろう?
でも、確かな好きはある。本能的な部分がまだ残っているのだと思う。

周りがとても眩しい。
直視しようにも眩しすぎてできない。
それをその人たちは暗いという。
それが暗いのだとしたら、私の立っている場所はどうなってしまうのだろう。
ここは湿度が高く、前後左右何も見えない。
音も聞こえてこない。
もしかしたら自分で目隠しを付けたのかもしれない。
耳栓もつけたのかもしれない。
もう見たくも聞きたくもないと。
とにかく眩しい。
だから、一歩、また一歩と下がる。
私の目ではその光は捉えられない。
まだ、この目は耐えられるほど力を持っていない。
でもきっとみんな自分の立ち位置をそう思っているんだろう。
だから、暗い自慢になりそうな話は片っ端から避けていきたい。
それすらももう疲れた。

ねぇそれって例えばどれくらい痛いのって歌ったのはノベンバ。
痛さで言えばもうよくわからない。
痛覚を自覚するエネルギーを失った。枯渇している。
ただ、ぼんやりと思う。ここはどこだろう。
ここで何をしているんだろう。
ここまできて、何があったというのだろう。

昨日開いた扉が良かったかどうかはまだわかりかねている。
それでも開いてしまったものは開いてしまったのだから仕方ない。どうしようもない。
ただ、1人だったら耐えられなかっただろう。
隣にいた彼女にありがとう。